THURIUMの服は、シーズン毎に物語を考えるところから服づくりが始まります。前職のグレースコンチネンタルで過ごしたことが、THURIUMの服づくりにも影響を与えているようです。「コンセプチュアルな世界観をつくるのが非常に上手なブランドだったと思っています。服を購入するお客様の中には、服を見て購入するというよりも世界観が好きでコンセプトに魅力を感じて購入するリピーターの方が数多くいました」。展開する服のストーリーや思いが伝わるからこそ、人々を魅了しファンができるのかもしれません。
「デザイナーの独りよがりな服にならないよう、物語の登場人物が現実の世界に飛び出してきたかのように、日常的にTHURIUMの服を着て楽しむ姿をイメージしながら、ストーリーを大切にして服づくりをしています」と及川さんはTHURIUMのこだわりを話します。
THURIUMの2020秋冬シーズンのテーマは「ブルタバ」。チェコにあるブルタバ川の川沿いで生活をするボヘミアンという民族のことを思い出したという及川さん。「調べていくとこの民族は放浪しながら生活をしていて、季節によってサテンや妖艶な服を着ていて、とにかく自由に服を楽しんでいる民族だということがわかったんです。そこから、自由奔放な女性像が発想され、秋冬シーズンのTHURIUMの服のテーマにしました」。

THURIUMの服選びが楽しくなるのは、物語だけではありません。テーマに基づいてつけられる洒落のきいた商品名にも注目です。例えば、リバーシブルのウールコートもブルタバ川にかけて「気持ちを込めた“リバー”シブルウールコート」に。テーマやストーリーが少しでも感じられるような名前がつけられています。THURIUMは服を着る自分を想像しながら、服を選ぶ過程も楽しめます。