いつかは自分のブランドを持ちたいという夢を抱き、高校卒業後は服飾・ファッションの専門学校である文化服装学院に進学。学ぶ中で「デザイナーになりたいけれど、デザインを学ぶだけでいいのだろうか?」と疑問を抱いたことがあったといいます。そこで、在学中にインターンシップという形で、とあるファッションブランドのアシスタントの経験をしました。
「当初は、ただ『デザイナーってかっこいい、ブランドを始めるってかっこいい』って思っていたんです(笑)。でも実際に携わりながら、デザインするだけではデザイナーになれないんだなって思って。お客様がいくらだったら購入してくださるのか、お客様やクライアントとなる企業のことなど、デザインした先にあることまで考えていかないとブランドの存続は難しいんだという厳しさも学びました」と及川さんは振り返ります。
ファッションショーの裏側で服の仮縫いをして着ている人の体に合うよう調整するフィッターとして仕事を経験するなど、ブランドをつくるために必要なことや関わる人がたくさんいることを肌で感じたことで、より自分のブランドを持ちたいと思うようになっていったといいます。
文化服装学院を卒業後、日本のアパレルブランド「グレースコンチネンタル」に入社した及川さん。最初に経験した販売員の仕事の中で、接客するお客様のさまざまな悩みを聞いてきました。いい服を着たいと感じていても「値段が高い」と購入を躊躇していたり、その時の自分の体型に合わせて着こなせる服がわからなかったり……。悩みを直接聞くにつれ「やっぱりデザイナーとして自らつくる服を通して、お客様の悩みを解決したい」と強く思うようになった及川さんは、退職を決意。特に、体型の変化によって服選びに悩んでいる女性たちが多かったことから、体のラインが美しく見える服をコンセプトに、2016年に「THURIUM」を立ち上げデザイナーとして一歩を踏み出しました。