幸せな気持ちが自分の前向きな行動や言動につながり、周囲にもポジティブに伝播していくーーそんな服を追求し、服づくりに真摯に向き合うブランドがあります。
Blossom jiji(ブロッサムジジ)は、人々にとって行動の原点となる意識レベル(SQ)を上げ、一人ひとりの人生をポジティブにするきっかけを生み出す服を製作しています。“着るだけで愛になる”をコンセプトとするミセス向けのファッションブランド「Blossom jiji」デザイナーの福守博子さんにお話を伺いました。女性向けファッションを展開する根底には何があるのか、またブランドを通じて何を目指していくのでしょうか。稼業の技術力と長年培ったデザイナーとしての経験を融合させ動き出した、新たなブランドの目指す先をぜひご覧ください。
実家の稼業は、福守株式会社というインナーウェアやフォーマルウェアーのメーカーを営んでいます。つくり酒屋を営んでいた稼業を、父が繊維業界に鞍替えさせ、肌着やランジェリーなどに使用される生地編物(トリコット)の専業メーカーとして創業したことから始まります。次第に縫製を行うようになり、1962年(昭和37年)に福守株式会社として設立した数年後に、ランジェリー縫製業に一本化して現在に続いています。

会社のある桐生市や佐野市などの足利地区といわれるエリアは、織物やランジェリー縫製、染色加工といった他業種が集積する複合産地といわれてきました。会社が誕生した頃、インナーウェアやランジェリーは実用性が重視とされる風潮の中、会社は古くからそれらをファッションと捉え製造・販売を行ってきました。デザイナーはファッションの流行を掴むためヨーロッパに足繁く通っていたと、博子さんは先代の社長から当時の様子を聞いていました。
日本人のニーズや志向に合うデザインやファッション性が評価され、一時期はネグリジェやスリップの製造で全国でも5%を占める製造を行っていました。現在は10名ほどの縫製職人が福守で活躍していて、さまざまなジャケットインやボレロ、スカートが企画・製造されています。

福守では「ランジェリーやナイトウェアは女性らしさを引き出し、ファッションとして大切にされるものであってほしい」という願いを込めて服づくりが行われてきました。会社の想いが博子さんの中に根付いていたのかもしれません。社会人となり、気づけば自身もファッション業界に身を置いていました。有名な某化粧品メーカーの繊維部門に勤めた後、自社のシルクの高級ランジェリー製作に携わっていました。デザイナーとしてさまざまな経験を経て、現在、博子さんは福守でデザイナーとして企画・製造を行っています。