みなさんは『デニムを育てる』という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。デニムには、時間をかけ自分の好みの風合いに変化させることができる魅力があります。そんなデニムの魅力を生かし、東京都北区でリメイク・リペア専門店を営む「JOURNEY FACTORY」代表の重本洋介さん。
デニム発祥の地、岡山県倉敷市児島で縫製工房経験やアパレルブランドの営業職を経て、同社を設立し、著名人をはじめ多くの人たちのデニムの相談をカタチにしてきました。これまでリメイクやリペアに携わった数は実に10,000本を超えるのだそう。日本だけにとどまらず世界中の生地を見てきた重本さんは、あらゆる生地で洋服をつくりたいという思いを抱いています。リメイクのプロは、一つひとつのデニムの依頼にどのように向き合っているのでしょうか。
重本さんは、高校時代から自分のほしい服がないと感じ、将来的に独立して縫製の仕事をしたいという思いを抱いていました。自分で学費を支払いながら通うことができる服飾の学校を探していたとき、岡山県倉敷市の児島という地域にある倉敷市立大学の服飾美術学科を知り、進学しました。
児島というエリアは、国内のデニム発祥の地として知られている地域でした。大学時代、デニム工場を見学する機会があり、そこから重本さんはデニムの世界に興味を抱くようになりました。卒業後は、児島にあるデニムの縫製会社に就職。その工房でリメイクやリペアを通して、縫製技術を身につけていきました。生地や糸の特性、服づくり全体を理解できたことにより自ら服をつくることが可能になりました。
縫製技術を約3年間学んだのち、2014年にモノづくりにこだわりのある日本のアパレルブランドに転職しました。独立に向け、今度は営業力をつけたいと思ったためでした。ここで、重本さんは仕事を通してファッション業界の流れやブランドの動向を学ぶ傍ら、プライベートの時間を使って知人の服のお直しなどを細々と続けていました。
その後仕事が多忙になるにつれ、自分でものづくりをしていたいという思いが強くなった重本さんは、退職。2015年、縫製技術と営業経験を生かしてデニムを中心としたリメイクやリペアの専門店「JOURNEY FACTORY」を立ち上げました。