普段から人を観察することが好きな、重本さん。「人の歩き方や話し方など何気ない動きから、どのような人なのかを想像するのが好きなんです(笑)。人を観ているのって、飽きないんですよね」と話します。日頃から一人ひとりの行動や言動からその人の本質に迫ろうとする重本さんは、仕事においても依頼主を理解するカウンセリングの時間を大切にしています。
ヒアリングの時間は、最低1時間。リメイクやリペアをするにあたって、依頼主がなぜ直したいのか、預けられるデニムにはどのような歴史があるのかなど、好みの形やデザインなど依頼主の欲しい形にしていくために、思いをしっかり聞き取ります。そこからラフを描いて使用する生地を決め、イメージを固めたら依頼主に提案して製作をしていきます。
「服など身に着けるものって他人にどう見られたいかという思いが表れるものだと思うんです。だから、お客様がどう見せたいのか、どうなりたいのかということを大切にヒアリングしています。そのうえで、お預かりする生地や生地からにじみ出ている味などのいい部分を残してきれいに仕上げるために、一針一針ていねいに作業します」。
「私がいいと思ったものは提案はしますが、それは決してお客様にとって欲しいものやいいものであるとは限りません」と話す重本さん。依頼した人が求めているものをカタチにできるよう、自身の個性をあえて消して作業にあたっているのだそうです。